法人(ひとり社長)とフリーランス比較 年金編
フリーランス(個人事業主)の場合、国民年金に加入する必要があります。ですが、これだけで高齢者になった時、生活できるでしょうか。この辺りを調査した結果を共有したいと思います。
厚生年金と国民年金
会社員は、第2号被保険者になります。会社員は国民年金+厚生年金の2階建てになっています。これに対して、フリーランスは第1号被保険者になります。国民年金のみの1階建てです。要するに、会社員の場合、なにもせずに国民年金に厚生年金部分が上乗せされています。さらに、第3号被保険者です。これは会社員の配偶者(専業主婦・夫)にあたります。会社員の厚生年金は、配偶者の国民年金部分も含まれています。しかも、配偶者の有無に関わらず、支払う保険料は変わりません。結婚している方が得になります。一方、フリーランスの妻は、第1号被保険者に別途、加入する必要があります。
会社員 →厚生年金は、配偶者の国民年金も含む、厚生年金部分が上乗せされて2階建て
フリーランス →国民年金は、配偶者の国民年金も別途支払う。上乗せ部分がなく1階建て
具体的にシミュレーション
検討すべきは、支払い額に対する戻り額だと思っています。単純に「安い=良い」ではないと考えます。それでは具体的に(ちなみに20~60歳まで同じ条件であることが前提です)
■フリーランス 本人(40歳/大阪府東大阪市在住/年売上-経費:500万)、妻(専業主婦40歳)、子供2人の家庭
月額支払 33,080 (16,540 × 2)
月額受取 128,000 (64,000 × 2)
支払1円に対する受取3.87円
■法人(ひとり社長)本人(40歳/大阪府東大阪市在住/年給与500万(月額41.7万)/協会けんぽ)、妻(専業主婦40歳)、子供2人の家庭
月額支払 75,030
月額受取 216,000 (64,000 × 2 + 88,000)
支払1円に対する受取2.88円
★ 結論 法人(ひとり社長)はフリーランスに比べて 損です。
さらに、配偶者がいない場合、第3号被保険者のメリットがないので、さらに損です。ですが、終身支払が続く補償がフリーランスの国民年金だけで生活できるかどうかを検討してください。月12.8万(配偶者分含む)では生活はむずかしいと思います。一方、会社員は、月21.6万(配偶者分含む)です。よって単純に比較すると損ですが、年金は終身支払われます。収入が低く、長く生きることは、リスクだと感じます。ここは、価値観だと思いますが、トータルで考えると私はそれほど損でないのかなと考えます。会社員になって、厚生年金を選択するか?他、私的年金を検討するかが必要になります。
ちなみに、前回の健康保険の調査では会社員が良かったので、年金も会社員の方が良いと期待しましたよね。なぜ、会社員の厚生年金が損なのか?実は、厚生年金から一部、国民年金を補填しているそうです。えらいことになってるなあ。参考 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65830?page=2
まとめ
いかがでしょうか。法人を検討している方にとっては、少しマイナスの情報になりましたね。ですが、嫁さんが専業主婦の場合、それほど悪くはないと考えたいです。寿命が100歳になると言われたり、国の政策により、年金の支払い開始時期が先になったり、iDeCoを進められたり、将来の備えは、とても難しいですね。まあ、将来に備える検討も必要ですが、これも原資が必要です。検討して答えがでなければ、今ある情報でベターな判断をして、次は本業でしっかり稼ぐことにシフトした方が良いと思います。
ちなみに、私はフリーランスになった時点で、節税の意味もあり、会社で支払っていた同額(会社員+会社負担の合算)になるまで、国民年金基金(私的年金)に加入しました。
■年金のシミュレーションは次から算出しました。 参考 https://www.smbc.co.jp/kojin/special/nenkin/simulation/simulation.html